若い時からアスレチッククラブに通い筋トレに励んできたKさんですが、80歳を過ぎた頃から腰痛・膝関節痛に悩まされ、今年で87歳になるとともに車椅子生活にまで追い込まれてしまいました。元気だった頃のあの豪快な笑い声はスッカリ影を潜め、ボソボソとした話し方に変わりました。顔つきも眉間にしわを寄せて何やら不愉快そうです。口を開けば愚痴ばかりのKさん、車椅子を押すお孫さんにも笑顔がなく腫れもの扱いです。
感謝がない、笑顔がない、趣味もないの「ないない老人」が増えています。高齢となりあっちこっちの痛みをかかえる老人は鬱傾向が強く家族の嫌われ者になりがちです。さらに金もない、「ないない老人」の居場所は狭くなるばかりです。許容度が低くなっている現在の社会では、人生経験豊富なだけでは住みづらくなっているようです。理由はともあれ、笑顔がなくなって愚痴ばかりのKさんにとって周りの環境は居心地の良いものではないようです。
そしてクリニック受診。Kさんにとってプライドをかけた見せ場が待っています。検尿コップを手に取り意を決して採尿室へ入ります。検尿ができるか否か、尿漏れを克服してカップに尿が取れた時は自分ながら大満足なのです。朝から我慢してきた甲斐があったというものです。孫には見せられない、この男のプライドまでもなくなったら本当の「ないない老人」だと思っています。