クリニック通信Clinic Letter

10月の診療室だより

いつもしわがれ声のAさん84歳が、声が出ない、身体がだるい、と訴え受診しました。全道的に暑さが厳しい今年の夏、手稲地区は札幌の中でもとりわけ暑さ指数の高さが指摘されていました。西陽に照らされてうだるような熱波から逃れるようにクリニックにたどり着いたようです。熱中症一歩手前で脱水がひどく、点滴処置が必要でした。
本日の本当のAさんの目的地は、クリニック受診ではなく別の所でした。2週間程前に孫を迎えに行った地区の図書館、その館内に入った瞬間、身体中に感じた快感、退職後20年間手稲から出たことのないAさんにとって、こんな近くに、こんな涼しくて快適な空間があったなんて、と感動しました。その後はその快適さを求めて連日図書館通いとなりました。当初涼むだけの図書館通いでしたが、周りの人の読んでいる本を1冊手に取って読むうちにすっかりはまってしまいました。本の名は“鬼滅の刃”、途中の1冊から読んだのですが、改めて第1巻から読み進めることになりました。サザエさん位しか知らないAさんにとって漫画なんてとバカにしていた漫画本、子どもの読むものと思っていたものが、すっかりAさんをとりこにしてしまったようです。現代版、南総里見八犬伝のような内容も、Aさんの痛快感を刺激してくれて、涼みがてらの図書館通いをさらに楽しくしてくれたようです。その鬼滅の刃もあと数巻を残す所となった9月、さすがに暑かった今年の夏も終わろうとしています。

一覧へ戻る