クリニック通信Clinic Letter

6月の診療室だより

医者の不養生とは良く言われる所ですが、K先生もその典型的な一人でした。 数年前に大学を定年となり、その後は好きな釣り、フルート演奏を楽しむ悠々自適の生活でした。
 ある日の会合で、5年振りに偶然話をする機会がありました。 末期の患者さん(特に癌による)の漢方医療を含めた疼痛緩和治療主体の施設を運営してみた いとのこと。 さしあたっては、手稲山クリニックでその一部を試してみたいと言うのです。 末期の癌患者さんからアレルギー鼻炎の患者さんまで様々な病態 の患者さんが受診している当クリニックに非常に興味を持ってくれたようでした。
 一週間に一度程度の当院での外来診療が始まりました。 疼痛外来はそこそこに患者さんの受診があり、まずまずのスタートとなりましたが、一週毎会う度に気になることがありました。 本人はあまり気にしていませんでしたが、顔色の悪さが次第に強くなるようでした。
 強く勧めた血液検査と胃の検査は想像を超えるものでした。輸血を施行。 しかしながら充分に回復する前に事故に合い、亡くなってしまったのです。 もっと早く処置をとっていれば・・・と悔やむことしきりですが、医者の不養生、肝に命ずべき大事件でした。

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