クリニック通信Clinic Letter

5月の診療室だより

Sさんにとって夜は恐怖の時間帯です。 ベッドに入るのは夜の10時。 寝付きは悪くないのですが、11時には起き上がってトイレへ。 それからは30 分~1時間毎にトイレ通いとなります。  7~8回もトイレに通って朝になるという訳です。 すっかりうつ状態になったSさんを家族は精神科に受診させま した。 その結果、様々の抗うつ剤の服用となり、更には認知症の診断までなされました。
 Sさんのような頻尿を呈する膀胱過敏状態は60代後半の男女で数多く認められますが、尿漏れや尿失禁もしばしば伴うため、なかなか相談する機会がなく、 ただただ不眠症として治療されることが多い様です。 もしかしたら認知症になったのではないかとの不安も加わり、ますます泥沼に陥ることになります。 
 Sさんは幸い尿路感染症や認知症を伴う状態ではなく、薬物療法で症状の改善をみましたが、一連の経過の中でうつ状態が進み、新たな問題へと発展してしまった訳です。

追)様々の抗うつ剤を含めた薬剤中止後、Sさんの顔色はほぼ以前と変わりなく元に戻りました。 まずはメデタシという所でしょうか。

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