クリニック通信Clinic Letter

8月の診療室だより

女性特有のものかどうか定かではありませんが、最近経験した女性でないとわからないと思わせる感覚を二つ。 ひとつは、50代の女性、高血圧が主たる症状ですが、近頃イライラが強く、近くにいる定年後のご主人にあたり散らしてばかり。 唯一、隣に引っ越してきた 若いカップルの赤ちゃんの泣き声を聞くと気持ちが安らぐというのだが、男性にとり非常にわかりにくい感覚であり、ご主人も面喰らっていることと思われる。   もう一つは、前月に続きまたまた痴呆の話で恐縮だが、88歳の女性の話である。 彼女の受診理由は一つ。 便秘だが、その便秘も半端ではない。受診時は、便秘による腸閉塞(腸の動きが止まってしまい、お腹がばんぱんになってしまう) が、いつものことである。 このたびも、また同じ症状でお嫁さんと一緒に来院された。 腸閉塞を起こしても元気はよく、おなかが痛くて、こんなに張って吐き気もあるし、私は妊娠したのではないか?と。 そんなこと(妊娠するような)はしてな いのに、悪阻みたいだ、と真顔である。 勿論浣腸をして、無事出産(?)させてしまえば、けろっとして帰られるのであるが。
 若くても、年をとっても、女性を忘れない、忘れたくないという女性特有の気持ちが感ぜられるが人の気持ちを推し量ることの如何に難解かを改めて感じさせる事例となりました。

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