クリニック通信Clinic Letter

7月の診療室だより

最近物忘れがひどいという相談を受けることが多くなった。相談される当方にとってみれば、その程度の物忘れなら自分と同等か、もしくは自分の方がひどいの ではないか、と感じることがしばしばである。ある日の午後の外来に91歳のお年寄りの受診があった。ここ一週間ばかり急に物忘れがひどくなったとの訴えで ある。91歳という年齢からすれば、健忘症や痴呆症があってもなんら不思議ではないだろうにと思うが、診察してみて驚いた。明らかな貧血を認め、出した舌 は真っ白である。真っ黒な便で消化管(胃や大腸)での大量出血がうかがわれた。真っ黒な便は一週間程前からだとの事。後日、貧血改善後の記憶力は、息子の 年齢、ひ孫の生年月日まで知る見事なものであった。60そこそこの年齢で物忘れが激しいなどと言うべきではないと感じ入った次第である。

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