クリニック通信Clinic Letter

4月の診療室だより

コロナ感染の嵐が過ぎて、街を行き交う人々のマスク着用が目に見えて減ってきているようです。介護施設に勤めるМさん74歳も施設の中ではマスク着用ですが、同僚が皆、帰宅時には外しているのを見て自分もそろそろ外そうと考えています。
ところがここに来て予期せぬ障害が立ちはだかりました。娘2人が同居中ですが、内の1人が強固な感染症防御主義者ともいうべき存在なのです。Mさんが疲れて職場から帰ると、玄関の前でまずコートの埃を払った上、さらにアルコールを散布されます。直接居間に入ることは許されず、洗面所での手洗い、うがい、アルコール消毒を済ませて初めて入室許可が出ます。まさにバイキン扱いです。「家の中でもマスク着用してください」と言われていて落ち着く場もありません。
コロナ禍で擦り込まれた感染症恐怖症。コロナがインフルエンザ並みの感染症と位置付けられても人々の意識はさほど変わっていないのかもしれません。過剰予防狂とでもいうべき潔癖さの存在は家庭内分断にまで発展しそうです。
「西友でケーキを買って帰ったら少しは規制がゆるくなるかしら」と弱々しい笑顔のMさん。「欲しがってたマフラーも買って付けてあげたら規制緩和してくれるかな?マスクは毎日色を変えてデザインも変えて着けてみたら気分も変わってうっとうしく感じないかもね」、とあくまでも娘思いのМさんです。

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