クリニック通信Clinic Letter

2月の診療室だより

Oさんの住むK地区は札幌市と小樽市の境に位置する手稲山麓にあります。銭函から札幌市街地、厚田方面を望む眺望最高の高台です。30年以上前に造成され、価格の安さもあり、若い夫婦家族が殺到しました。しかしながら、この環境の良さの中で子育てをほぼ終えた多くの住民にとって、雪深い冬場は体力の衰えた身体には次第に過酷となり、K地区を後にする家族が増えてきました。空き家と残された家庭菜園、そしてそこに群がる各種動物達、危険を感じてさらに去っていく住民の代わりに、新たな人達の入居が起こってきました。
ご主人が大学に勤めるオーストリア人の家族の目的は、各種動物が闊歩するK地区の自然環境です。鹿やタヌキ、キツネ、アライグマ、テン、ミンク等々が入れ替わり訪れるK地区に魅せられた人達は、欧米、アジアと多彩です。
今でこそミニ国際村と化したK地区、そしてそこに住んで30年の最古参のOさん、家庭菜園荒らしの動物達との新たな共存を目指して考えを変えようとしています。K地区再生の道を探して新たな地区価値を高めようとする運動につなげようとしています。
鹿がキッチンの窓から顔を出す元旦の朝は昨夜からの雪が積もって真っ白、餌のない冬は常緑樹のオンコの柔らかな葉が鹿に食べられた跡を残しています。今年も新たな静かな闘いが待っているようです。

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