クリニック通信Clinic Letter

11月の診療室だより

北海道で異例の暑さが続いた8月、オホーツク沿岸では「もずく漁」が盛んに行われていました。漁の期間は1~2週間、漁師の奥さん方の仕事です。防水服に身を包んで約1時間半、これが限界です。
肥満と糖尿病のIさん、今日も汗みどろで漁を終えました。この期間で5kg減少、明日は札幌での定期チェックが控えていますが、この分なら自信を持って受診できそうです。肝硬変への移行が危惧される特殊な脂肪性肝炎を持つIさんにとって、体重減少は必須の対策です。
Iさんの住む道北のS町は漁師の町です。豊かな漁業資源に恵まれた裕福な町ですが、このところある問題に悩まされています。それは野生動物の出没です。町の真ん中を走る一級国道は、夜ともなれば、鹿、アライグマ、キツネ、そして熊が行き交います。住んでいる人間の数より、明らかに動物の数が勝っているのです。
漁が終わった後の時間帯ともなると、国道にはあちこちに動物の姿が……。車と大型動物との衝突が相次ぎ、夜間の車の走行はほとんどなくなっている始末です。
夕方の散歩ができなくなってしまったIさん。もずく漁で減った体重は瞬く間に元に戻り、わざわざ札幌のモンベルまで買い求めた運動靴は、使われないまま、孫が使うようになるまでお蔵入り状態です。

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