クリニック通信Clinic Letter

9月の診療室だより

受診中のMさん、唐突に、「先生、遺伝て怖いもんだな」と言い出します。彼によれば「息子が、自分が最初に受診した歳の45歳になった。糖尿病、高血圧、そして腹が出てきたので受診した」と言うのです。お盆前の先週の土曜日に受診したのが自分の息子だと言います。ほっそりとした顔立ちとふさふさの髪のため失念しましたが、あのお腹の出方はそっくりだと思い至りました。「俺と同じでポテトチップス、ポップコーン、カップラーメンが大好きでさ、へそのゴマの量も同じなんだわ。そういえば母ちゃんも俺にそっくりで遺伝は感染するんだろうか?」
遺伝性ポテトチップス、ポップコーン好きなるものが存在するか否かは定かではないものの、家族的に嗜好が似通うことはよく知られる所です。「何でも似てるから胆石も皆持ってるんじゃないかな?運動は嫌いだし、水虫も持ってるんじゃないかと思うよ」
今度こそポテトチップス、ポップコーン止めるとMさん。宣言するかの様に親指を立て診察室を後にしました。その一カ月後、採血結果は相変わらずの高度高脂血症。「ポテトチップス、ポップコーンは止めたんだけどさ、コストコ行って買って来たかりんとうが止められなくてさ、家族皆また好きなんだわ、遺伝だな」

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