クリニック通信Clinic Letter

5月の診療室だより

笑顔一杯の丸い顔がドアからのぞき込みます。Mさんは今日も元気に忙しそうです。猫4匹と暮らす母親は認知症で、苗穂に住んでいます。ご主人の父親も認知症で小樽に住んでいます。2つの地区を結ぶ国道5号線を毎日のように行ったり来たり、2人の介護に明け暮れます。母親と暮らす猫たちも高齢、一匹はシリンジ(注射器)を用いた経管栄養で命をつないでいる状態とか。
齢をとった親の介護は長寿高齢化で増え続けています。認知症が高度となり、身の回りの始末はおろか自分も分からなくなってくると収容できる施設はありますが、その一歩手前の状態では、結局、家族が全面的に介護に回ることが多いようです。
明るいMさんでも、東西に分かれた両親の面倒は相当に過酷です。好物はお菓子などのスイーツ、車の助手席に設けたお菓子専用の段ボール箱には千秋庵のスイーツがいっぱい、西へ東への移動の間が至福の時なのです。
155cm82kgの身体を診察室のドアから素早く滑り込ませ、体重計にでも乗るかのようにおそるおそる座ります。検査結果をこわごわのぞき込みながら、糖尿病どうでしたか? もう少し甘い物を控えなきゃダメですよね、運動もしてないからもう少し運動やってみようかしら、千秋庵が近くになけりゃいいんですけど。

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