クリニック通信Clinic Letter

4月の診療室だより

Tさんは今年95歳になりました。足腰の衰えはほとんど見かけられず、あの大雪の日も歩いて受診、化粧もバッチリです。朝は5時に起床、最初のルーティンはバランスボールに乗ることから始まります。寝ぼけ眼で乗っても腰がはずれることはなく驚くべきバランスの良さです。30年以上続けてきた成果です。バランスボールでほぐれたお腹や上体は快便快食を促し、はつらつとして今日も元気です。
足腰の丈夫な90歳越えのお年寄りが増えています。このお年寄りに共通していることは朝の運動です。それも家の中での運動。雨や雪に左右されませんから毎日できます。91歳のMさんの場合、居間と和室の間の階段を利用して行ったり来たり、息子たちがバリアフリーを勧めても断って、逆に段差を利用しています。10分もするとこわばった膝がなめらかになって膝も高く上がるようになるとか。ジムに行った経験もないこの人たちが編み出した健康法は非常に合理的です。そのMさん、朝のルーティンを終えたところでしっかり身支度、おもむろにママさんダンプを押し始めました。この冬一番の大雪は玄関の扉を高く覆い、外に出るのも大変な日です。福祉除雪の70代のおじさんが来る前に歩く道を作っておこうと思い立ったのです。そのおじさんが来るころには玄関前は歩行可能な状態になっていました。
今日は月1回の歌会の日。Tさんはこの日のために書きとめた短歌5首を清書していそいそと会場の公民館へ。ここ30年間この日を欠席したことはなく、15名の会員の最長老。バランスボールで鍛えた足腰はTさんをシャンとさせ、95歳を全く感じさせません。いくつになっても青春、そんな言葉を彷彿とさせるTさんです。

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