クリニック通信Clinic Letter

3月の診療室だより

「コロナワクチンを打つと性格が変わるって聞いたんですけど、本当?」とTさん、68歳。診察室のドアをそっと開けて踊るような仕草で入ってきます。真っ赤な部屋ローブ様のふあふあの毛糸の上着が素敵です。Tさん以上に明るく振る舞える人を知りませんが、「性格変化したんですか?」と聞くと、「眠れないので鬱になったかと思って、性格を変えようとワクチンを打ったんです。そしたら筋肉痛でさらに眠れなくなって食欲も落ちちゃったんです。そんな時、たまたまテレビを見ていたら格好良いお兄さんが炊飯器の宣伝をしていて衝動買いしちゃったんです」と話は訳の分からない方向へ展開し、本題は炊飯器に移ります。この炊飯器、ただものではなかったようで、眠れない眠れるの問題はさておいて、食欲は一気に増したとのこと。
ワクチン接種と炊飯器の関連は、Mさん、65歳にも認められました。2回目のワクチン接種後、全身の筋肉痛に悩まされたMさん、食欲が極端に落ちて10kgも減り、食欲を上げるため炊飯器に辿り着いたとのこと。普段あまりおいしくないお米でも、この炊飯器で炊くと本当においしく食べられるとか。
コロナワクチンのおかげで5kgも減ってせっかく標準体重になったTさん。76kgの体重から66kgまで落ちたMさん。糖尿病も改善し、喜んでも良い状態だったのに、この炊飯器で元の木阿弥に。元の体重にあっという間に戻ってしまったようです。とにもかくにも市場に出回るAI炊飯器恐るべしというところですが、コロナワクチンによる性格変化も定かではないものの、たとえあったとしても一過性のもので、糖尿病を治すほどの効果はなかったようです。糖尿病の悪化を現実にして、糖尿病の大敵、炊飯器の前で思案顔のTさんとMさんですが、ステイホームの続く日々に糖尿病悪化要因は増加するばかりのようです。

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