クリニック通信Clinic Letter

12月の診療室だより

診療予約日を一週間後に控えて今日も突然の受診となったIさん、86歳。身体がこわくて頭痛もして動悸もするといいます。心臓は大丈夫だろうか、とか、脳外科受診しなくても良いだろうか、といつもの訴えです。先月も脳外科を受診して、また受診したら今年に入って4回目。いくらなんでも10カ月でMRI4回は多すぎませんか?
家には5つ年上のご主人がいます。難聴のため早朝からテレビはガンガンと家中に鳴り響き、ソファーに座りきりでお菓子を食べまくっているとか。テレビは23:30には切れますが、その後は30分毎にトイレ通いで、寝室、居間は明るくなります。絶え間のない騒音と異質の生き物との同居がIさんの心を苛立たせます。野獣と同居しているような怯えを感じているようです。
長年連れ添ってきた夫婦の間に亀裂が生じています。多くは、難聴、運動不足による身体障害に起因しているようですが、夫婦間の会話不足がお互いの不信につながっているようです。そして、このコロナ禍による閉じこもりが拍車をかけています。
明日は金曜日、頭痛がなくなる日です。Iさんのご主人がデイサービスに出かける日です。明日になったら静かになった居間で麻雀友達と心置きなく電話するのが楽しみです。家にこもった日々の唯一の楽しみ、一週間の思いを友達に聞いてもらうのが生きがいとなっています。

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