クリニック通信Clinic Letter

5月の診療室だより

4月ともなれば桜の便りが列島の各地から届き始めます。連休を間近に控えた札幌の街は、冬囲いを解き、春の準備が真っ盛りとなる頃ですが、今年は例年になく動きが鈍いようです。Sさんの春は、物置にカバーを被せた自慢のロードレース仕様の自転車の準備をすることですが、なぜか今年は埃をかぶったまま物置に置かれています。言わずと知れたコロナ自粛の結果のようで、従順な札幌市民の一員を決め込んでいます。そんな中で唯一の楽しみは孫達の来訪、小学校の休みが続き、行き場を失ったお孫さんは連日のように訪れ広い庭を遊び場にしています。子供からの感染を心配する奥さんを余所に、コロナ肥満まっしぐらのSさん。持病の糖尿病の悪化を前に泰然自若の態で臨んでいるようです。「コロナ肺炎で死ぬと遺骨だけが戻ってくるというじゃないですか、お金もかからないし、色んな面倒なことがなくなるから良いよね」とうそぶいています。
一方の奥さん、毎日が閉じ籠り状態の中で、孫の来訪までもイライラを募らせています。家にゴロゴロしているご主人も大型のコロナウイルスと見えるようで安定剤の希望です。「コロナ肺炎には効く薬はないんでしょう?でもうちのコロナウイルスには安定剤がよく効くの。少し多めに処方してもらえません?」

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