クリニック通信Clinic Letter

1月の診療室だより

 Мさんは83歳、足が動かなくなって救急病院に入院し、たまたまそこで受けた大腸検査で大腸癌が見つかりました。イヤイヤ受けた大腸検査でしたが、大腸癌が見つかったことよりも、無理やり受けさせられ検査されたことに腹の虫がおさまりません。憤然と同病院を退院したその足で当クリニックを受診しました。先生、わたしゃね、この齢になってあんな苦しい検査をさせられるとは思ってもみなかった、ここでは何もしないで看取ってくれるかい?大腸癌だか何だかわからないけど、年取ったら癌の1つや2つあるのは当たり前だろう、と言うのです。今年86歳になるご主人は慢性の腎臓病と高血圧持ち、Мさんの入院中は穏やかな日々を過ごしておりましたが、Мさんの帰宅と共に賑やかな日々に逆戻り、大腸癌の診断に開き直ったМさんの言動はさらにヒートアップ状態となりました。

 死を恐れない高齢者が増えて来ています。それも夫婦で80歳を超え、各々お互いを支えあって生きている2人の生き様は、既にこの世から超越した存在に見えることがあります。師走の街を大声で走り回る選挙カーを冷やかに見る目がここにもあります。2015年がこの人達にとって良い年になるよう願うばかりです。

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