クリニック通信Clinic Letter

12月の診療室だより

 糖尿病のYさんは最近パートタイマーとして働き始めました。Yさんの糖尿病はさほど悪い状態ではありませんでしたが、ここ1年程の間に急速に悪化して来ておりました。糖尿病のコントロールの指標であるヘモグロビンA1cは当初6%の前半にありましたが、最近では11%台にはね上がり、糖尿病の合併症が心配される程でした。何がYさんの糖尿病を悪化させたのでしょう。原因を辿ると、ご主人の定年退職後の経過と重なるようでした。定年直後は二人で旅行などを楽しんでいたようですが、その後次第にご主人といるのがわずらわしくなり、二人の間に会話もなくなり、唯一の楽しみは食べることだけ。ご主人がパートで働く日だけがほっとする毎日となりました。

そこで一念発起して再び自分も働くことを決意した訳です。勤務日の設定はご主人が家にいる時だけとし、何とか相手の顔を見ないで済むようにしました。働き始めてから3か月、彼女のヘモグロビンA1cは見る間に改善、再び6%台に戻りました。精神的に落ち着きを取り戻したYさんは、ご主人がいない時は好きな韓国ドラマの鑑賞、女性専用のジムに通ったりと、心身ともにリラックスした生活となり、生活をエンジョイできるようになりました。皮肉にもそれが糖尿病を克服できる要因となったようです。

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