クリニック通信Clinic Letter

11月の診療室だより

 今年還暦を迎えたTさんの自慢は、鍛えた筋骨隆々の肉体です。毎週1~2回ジムでのトレーニングを欠かさず行い、筋力維持に努めています。最近ジムで流行っている加圧トレーニングなるものを始め、筋肉増量により更なるパワーアップにとりかかりました。

 筋力アップと筋肉量アップをめざしたトレーニング法は、その最先端を行く、トップアスリート達により取り入れられ、爆発的な流行となっているようです。柔軟な肉体を持つ20~30代の方々に対して用いられた場合期待された結果が得られますが、老化が始まった40代以降には逆の効果が出ることがあります。多くの場合、更に効果を求めてテストステロン(男性ホルモン)の使用に進むこともあるようです。

 洋の東西を問わず、筋肉隆々の肉体は憧れの的です。Tさんも当初、還暦野球チームのエースピッチャーとして更なる剛速球を求めて始めた加圧トレーニングですが、倦怠感、筋肉痛等による副作用のため、目的通りとはいかなかった様です。血液検査では筋肉から出る酵素が高値となり、筋肉破壊が生じている可能性を表していました。テストステロンは処方して頂けませんか?という帰り際の彼の求めには、残念ながら応じる訳にはいきませんでした。

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