Yさんが当院を受診した理由は最近痩せてきたこと、尿の色が濃くなってきたということでした。1年の間に10kg以上痩せるというのは尋 常ではありません。Yさんが住んでいる道東の地は決して無医村ではありません。れっきとした入院設備を備えた町立病院もあり、ドクターも常駐しています。 問題はドクターがあまりにも忙し過ぎて検査に手間がかけられないことにあるようです。
膵臓癌は検査機器の発達で決して診断が難しい病気ではありませんし、早期であれば充分に治癒が見込める癌になってきています。
Yさんの状態は残念ながら悲惨な状況でした。膵癌に加え、多数の転移巣が肝臓に認められました。しょんぼりとして帰路についたYさん、奥さんと二人きりの生活の今後を思うと、重苦しい気持ちにさせられた、蒸し暑い夏の午後でした。