クリニック通信Clinic Letter

9月の診療室だより

82歳のSさんが当クリニックを受診しました。娘さんと一緒でした。 最近、健忘症(もの忘れ)が強くなって言葉もなかなか出てこないとの事。 歩けば5 分くらいの所に娘さん夫婦は住んでいるようですが、近くには居ても老いた母親の所に行くのは週に一回程度。 引っ込み思案のSさんは、老人クラブやデイケ アに行くこともなく、一週間ほとんど会話なしの状態でした。 診察してみても、Sさんには脳梗塞を疑わせる所見も、認知症の変化も認められません。 何が Sさんを痴呆もどきにさせてしまったのか?人間は社会的な動物であると誰かが言っておりましたが、他人との付き合いがなくなると言葉も忘れてしまうようで す。150歳や180歳の老人が居ることになっている今日の日本ではこの程度の問題はささやかな事かもしれませんが、本人にとってはやはり深刻な問題です。

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