クリニック通信Clinic Letter

1月の診療室だより

先生、私、主人に殺されるかもしれない、と訴えるSさん。2カ月前より5kgも増えて糖尿病も最悪の事態となっています。どうして殺されるかもしれないと思うんですか?新たに生命保険にでも入れられたとか?との問いに、2つの根拠を挙げてくれました。一つ目は、ご主人の弟から珍しいことにお菓子の詰め合わせが届いたこと。二つ目は、今まで全く料理をすることに興味を示さなかったご主人が、最近料理を始めて、チーズこってりのパスタを作るようになったこと。こんなに太ることを気にしている私にじゃんじゃん食べさせるんです、と。こんなに太ったのは(現在75kg)ご主人とその弟の仕業と言わんばかりです。そのSさん、2カ月前の受診時に、私、今コストコ病にかかっているんです、コストコに行ったら丸鶏(鶏の丸揚げのことらしい)が699円で、お菓子の大袋が1,200円で買えるんですよ、買わない選択はありませんよね、糖尿病ではなくてコストコ病なんですから。
コストコ病にかかっているのはSさんだけではなく、その糖尿病仲間のYさんも同様で、1時間並んでも意に介することなく、せっかくだからと2~3万円使うのが普通なんだとか。コストコ病のまん延は多数の肥満症と糖尿病患者を輩出させています。共通するのは、病気は自分のせいではなく、自分は被害者であるという被害妄想です。
真面目に糖尿病と闘っている多くの患者さんを逆撫でするような行動をとるSさんやYさん、今日もコストコ入口に向かって押し寄せる人々の中にいます。

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