クリニック通信Clinic Letter

11月の診療室だより

診察が終わり身体の状態がすごく良い状態であると告げると、「食欲もあるし体重も変わらないし体調いいから今日も受診しなくても良いかなと思ってたんだよね」とAさん。いつものようにおもむろに黒のバックから紙切れを取り出して、「今日はこの2つの薬をお願いします」と下剤とこむら返りの薬を示します。
糖尿病、高血圧、胆石症、逆流性食道炎、慢性硬膜下血腫、睡眠時無呼吸症候群、等々多彩な病気をお持ちですがあまり気にしていない様子で、「血圧と糖尿病の薬はこの前(2カ月前)30日分もらったからまだ間に合っています」とのこと。日数の整合性は気にしていないようで、その日の調子で適当に服用しているようです。
「今夜は暑いのでマスクつけるのが嫌で睡眠時無呼吸のCPAP(シーパップ)は使わなかったんだよね」と欠落だらけのシーパップ報告書を示します。9月の夜はあまり暑い日はなかったと記憶していますが、そんなことには全く頓着していません。酒を飲みすぎると胸焼けはするけど、次の朝には治まってるから滅多に食道炎の薬は飲まないとか。「時々ふらつくけどじっとしてたら治まるから血流の流れを良くするちゅう薬も飲まないで済んでるんですよ」と悪ぶれた風情もありません。
「先月、うちの奥さんと一緒に93歳になったんだけど、今まで謡もやったり麻雀もやったりしたけど、やることなすこと全部宙ぶらりん、仕事も宙ぶらりんだった。この分だと100歳も確実だと思うんだけど、そんないい加減な人生の過ごし方で何だか申し訳ない気がするんだよね」と真顔になりました。

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