クリニック通信Clinic Letter

12月の診療室だより

重症のぜんそく持ちのOさんの日課は早朝、それもまだ暗い午前4時にスタートします。ぜんそくの吸入薬でしっかりと発作を抑えていざ出発です。目標約10kmを毎日歩きます。昨年、地球1周分30,064km踏破を達成し、現在2周目に挑戦中です。幸い重症のぜんそく発作に見舞われることなくここ1年は経過しています。
午前4時半過ぎにいつもの広場の、ある所にやって来ました。そして暗闇の中からいつものようにびっこのキツネが向かって来ます。近くの家でいつものように餌を与えられた帰りのようです。まっしぐらにOさんに向かって来ます。その上には数羽のカラスがキツネを低空で襲います。速度を速めたびっこのキツネはOさんにそのまま向かい、Оさんの後ろにぴったりと付きました。歩くのを止めたOさんが懐中電灯を振ると、カラスたちは飛び去りました。
毎朝起きるこの奇妙な出来事は、Оさんとびっこのキツネの友情ともいえる信頼関係をつくりあげているようです。Oさんが歩き出すと数歩ついて来た後でキツネは走り去りました。
登ってきた朝日のように今日も気分良くOさんは目標に向かってまっしぐらに歩き続けます。地球2周目到達にはまだ30,000km以上歩かなければなりませんが、びっこのキツネとの友情がこの偉大な目標達成の後押しをしてくれそうです。

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