クリニック通信Clinic Letter

1月の診療室だより

肥満が悩みのSさんですが、見かけの姿とは裏腹に商社に勤めるバリバリのキャリアウーマンです。早朝から夜遅くまで会社に勤務、仕事漬けの毎日が続いています。帰宅はいつも夜9時頃、くたくたになって帰ると優しい夫がSさんの好物のスパゲティを作って待っていてくれます。女性の社会進出の傾向の著しい昨今からすると、Sさんの家庭はその典型例であり、社会進出を目指す女性からすると理想の夫を持って文句の言いようのない環境と言えます。問題は推定体重100㎏のSさんにあり、生活習慣病としての特徴すべてを併せ持っていることです。糖尿病、高血圧、高脂血症、膝関節症等々、最近は脂肪肝による肝機能障害も出てきて倦怠感もあるようです。Sさんは自分がしなければならないことはよくわかっています。体重を落とすためには食事制限が必要ですし、膝の状態が可能なら運動も取り入れるべきと本当に考えています。一番の問題はSさんの身体を考えて毎日の食事を作ってくれている優しい夫の様です。食べたら寝るだけのSさんを支え続けて20数年、作ってくれる食事を残すなんて夫の気持ちを考えたらとても出来ることではありません。今夜の手の込んだビーフシチューは絶品です。後ろめたい気持ちを隅に置いて今日も完食、明日のクリニック受診も気になりますが、まずは寝て疲れを取るのが先決です。

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