クリニック通信Clinic Letter

10月の診療室だより

 小さい頃から自分の生活の中でこだわりを持って生きている方は沢山見かけますが、糖尿病のOさん73歳もその典型例と言えそうです。日頃の偏った食生活(野菜は食べないこだわり)、運動不足、酒はOさんの身体をすっかり糖尿病体質に変化させてしまいました。揚句はインスリン注射療法となってしまいぼやきは増えるばかりですが、何とか続けてもらうことが出来ました。

 最近のインスリン注射療法は、器具の簡便化と無痛性使い捨て針の開発があり、非常に使いやすく安全性も高くなっています。Oさんの場合、確実に注射が出来るようになりましたが、不思議なことに血糖値がなかなか安定しないのが問題でした。詳しく注射の状態を調べてみて驚くべきことが判明しました。Oさんは使い捨ての針を1週間くらい替えることなく使っていたのです。こんな良い針を一回毎に捨てるのはもったいないと言うのです。ここでもOさん特有のこだわりが出て来ました。何とか説得して、それでも3日に一度変更することになりました。

 運動は糖尿病に必須の改善条件ですが、Oさんは奥さんと一緒に周辺の散歩を始めました。一緒になって夫婦で歩くのは何十年ぶりでしょうか、結構散歩を楽しんでいる風情でしたが、ある日ぱったりやめてしまいました。奥さんから断られたとの事です。原因はOさんの“こだわり”の立ちしょんです。恥ずかしいという奥さんの言葉になぜか腑に落ちないOさん。仕方なく今は別々のルートを歩くようにしているとか。近所で評判になった立ちしょん騒動、今後の成り行きが気がかりです。

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