クリニック通信Clinic Letter

8月の診療室だより

定年退職後は地域のボランティア活動に熱心に取り組んでいたIさん。持病の高血圧も落ち着いており、少し白内障による視力低下はあるものの、聴力は全く障害なく元気いっぱいのはずですが、最近どうも意気が上がりません。というのも、85歳になった途端、いろんなボランティア活動から閉め出されることが多くなったためのようです。理由は定かではありませんが、Iさんよりずっと若い人が入ってくるようになりIさんの出番が無くなったというのが現実のようです。新聞のクイズを解くのもわずかな時間つぶしにしかなりません。話し相手をしてくれていた奥さんも最近脳出血で入院、その後はグループホームに入所となり、更に時間つぶしが必要となりました。そこで考えたのが、長年連れ添った奥さんが隠しているに違いないと、へそくり捜しに着手。額縁の裏から畳の下に到るまで、そう広くもない家中を捜索です。埃まみれになるまで探した結果は零。くたびれもうけの3日間となりました。たいして行きたくもないと言いつつクイーンエリザベスⅡ号のクルージングを目指したへそくり探し、この3日間でまだまだやる気が出てきたとうそぶくIさん85歳でした。

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