クリニック通信Clinic Letter

6月の診療室だより

 お腹の不調を訴えて今日もTさんがクリニックを訪れました。便はちゃんと出ているのに、お腹の痛みが昨夜から続いているとのこと。吐き気もあり食欲は全くない状態で、40㎏にも満たない身体を屈めてうらめしそうです。胃も大腸も、膵・肝臓も異常を示しておらず、この1年程ずっとこんな調子で経過しています。試みた各種処方も効果的なものはなく、いずれも一時的な軽快を示しただけでした。

 Tさんの訴える症状の多くは春先から秋にかけて集中しているのが特徴です。更に詳しく問い詰めてみると、ご主人の定年退職後からお腹の症状が頻発するようになったことがわかりました。所謂、居候亭主状態による家庭不和が原因かと思われましたが、通常は2人で仲良く旅行にも行く、至極良好な関係のようでした。

 ご主人は会社時代から、大の江差追分ファン。退職後は朝から晩まで江差追分の練習に明け暮れ、今年こそ9月に行われる全国大会25位以内を目指しています。春先から秋口にかけては地方選抜大会での勝利をかけて練習練習の毎日とか。そしてTさんの胃腸症状真っ盛りとなる訳です。江差追分はいい謡だけどもう真っ平、優勝者の謡を年一回聞けば十分ですって。

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