クリニック通信Clinic Letter

9月の診療室だより

 Kさんは今日も脱水症状のため受診しました。いつもの様に奥さんに連れられて車椅子での来院です。毅然とした態度のKさんは車椅子生活になってもそのスタンスを崩すことはありません。80歳になり、力関係が逆転した現在においても然りです。

 家においてもクリニックにおいても、Kさんと奥さんとのバトルが続いています。この水を飲まないとあの本の様に枯れてしまうと言われているでしょ!俺は痩せても枯れても一家の柱だ、男だ!それなりの水を飲むにあたっても作法があるだろう、ムード作りも必要だとのたまう有様。逆上気味の奥さんに愛想尽かされてロビーに放置されてしまいました。

 身体が不自由になった高齢者が、今まで維持してきたプライドを保てなくなることが多くなっています。認知症はこんな人のために神様が与えた解決法なのかもしれません。

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