クリニック通信Clinic Letter

8月の診療室だより

 朝5時半、Kさん夫妻の朝は、尺八と琴のテープが流れ、ドミノの歌(イタリアの民謡か?奥さんが勝手に歌の名をつけている)と矢切の渡しを二人で合唱して始まります。ご主人は90歳ですが、昔は民謡の歌い手として名をはせただけに、衰えたとは言え、見事な歌いっぷりです。一方の奥さんは、痩せた身体に大動脈弁狭窄症持ちにも拘らず、やはり高音の響く声で誠一杯の歌唱です。大きな声で歌った後は、ゆっくりと二人で朝食、結婚後60年を超えて続く朝の日課は二人の健康的な生活の基となっています。

 カラオケ好きの高齢者が増えています。カラオケ店の日中はほとんどこれら高齢者によって占拠されていると言ってよいようです。歌好きの超高齢者達は、耳が遠くなってテレビの音量を家族から揶揄されながらも、高音量のカラオケ店では難聴を気にすることなくボリューム一杯の歌を楽しめる訳です。

 歌と笑いのこんな生き方、老後はさらに遠くなっていきます。

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