クリニック通信Clinic Letter

6月の診療室だより

 2ヶ月に一度、Sさんは日本海側の町からやって来ます。今年で85歳になるSさんにとって2時間の道程はかなりの緊張を強いられる運転と思われますが、左程の苦労は感じておらず、むしろ毎回の札幌行を楽しんでいる様です。

 問題はSさんがいつも持参する大量の薬の余りです。血圧の薬、喘息の薬、便秘の薬と毎回の様に残った薬を持って来ます。毎回調整しても同じことの繰り返しです。血圧も不安定、喘息発作も起こります。便秘も相変わらずで、時には外来で浣腸が必要となります。地元の薬剤師にお願いして服用を確認してもらっても変化なし。自分の気に入った時に服用し、服用は常に適当、俺はこうやって85歳まで生きてきた、とうそぶく始末です。

 今日もあの町からSさんは車でやって来ました。歩くと息切れするんだと外来で大声を上げています。そしてまた沢山の薬の余りを手にぶら下げています。免許証の書き換えをやって来た、視力はバッチシだったとか、車に乗ると目が覚めるし、老化防止に一番良いんだ、と帰りの車の運転席に元気に乗り込んでいきました。

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