クリニック通信Clinic Letter

10月の診療室だより

オホーツク海に面した村で、Sさんは村議会議員もつとめる有名人です。

根っからの酒好き、愛煙家でもあるSさんにとって、糖尿病は最近まで左程深刻な持病ではなかったようです。真冬でもないのに足先が冷たくなり、持病の糖尿病のコントロール不良を訴え当院を受診されたのはそろそろ秋の気配を感じる頃でした。

Sさんの左足は母指先端を中心として踵のあたりまで赤褐色に変色し、明らかに血流障害が起こっている状態でした。ともかく遠方からの受診ですから、インスリン導入もなかなかうまくいきません。各種の血流改善剤もあまり効果が出ぬまま痛みは増すばかりです。“切断”の文字も頭に浮かびますが、好きなゲートボールは役員もやっているしやめるわけにはいかないとの事。昔から血流改善に行われてきた“竹踏み”を勧めてみました。藁をもつかむ思いで始めた竹踏みは、意外や著名な効果を3か月後にもたらしました。

紫色近くまで変色した左足の親指は赤みを残すばかりとなり、勿論痛みは激減しました。昔からの治療法が足の切断を回避させた貴重な一例となりました。

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