クリニック通信Clinic Letter

2月の診療室だより

 原因不明の肺線維症を持つOさんが呼吸するのが苦しくなったのは、年末にひいた風邪からでした。風邪症状が治ったあとも呼吸困難は続き、年の初めになって受診した時には立っても横になっても苦しい状態となっていました。肺のCT写真では両方の肺が真っ白となった間質性肺炎でした。
 間質性肺炎は抗癌剤や免疫抑制剤、場合によってはある種の漢方薬で生じることが知られていますが、原因が明らかでないものも多く、肺炎を含めた肺の炎症が治まってから出ることもあります。呼吸困難、息切れが特徴ですが、時には無症状で経過し、一気に増悪ということもあります。
 緊急で移送された救急病院のICUで、Oさんは2週間後に亡くなりました。目が悪いため白い杖をついてゆっくりと歩く穏やかなOさんの顔が想い出されます。74歳でした。

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