「こんな歳にもなって、いつお迎えが来てもいいと思っています」と常日頃から話していたМさんでした。 3月中旬のある日突然、熱発に見舞われました。 38°5分、70歳過ぎのこの高熱は、元気に散歩を毎日していたМさんの気力を一気に失わせるに充分な出来事となりました。激しい咳、呼吸困難を伴った症 状は、Мさんを普段とは全く別人に変えてしまいました。肺炎球菌による肺炎は、高齢の基礎疾患を持つ、所謂後期高齢者の最も危険な感染症といえるでしょ う。肺炎球菌感染か否かは尿検査で速やかに判断できますが、一歩診断が遅れると生命取りとなります。糖尿病、胃癌、大腸癌の手術後の患者さんには、可能な 限り肺炎球菌ワクチンをすることを勧めています。 もっともМさんは、抗生物質の効果もよく、一命を取り留めました。その後Мさんがお迎えの話を全くしな くなったのは不思議ですが。