クリニック通信Clinic Letter

2月の診療室だより

2カ月の肺癌治療後、戻ってきたOさん、相変わらずタバコの臭いが強烈です。禁煙指導は受けなかったんですか? 家に帰ったらさ、居間はタバコの煙でもうもう状態さ、かーちゃん相変わらず40本以上吸ってんじゃないかな、とのこと。俺が吸わなくてもさ、あれ2次喫煙ちゅうのかな、同じことなんだわ、そんなことで入院中抑えていた喫煙が再開されたわけ。あっちの若い先生が言ってるようにタバコはやめた方がいいかい? 若いあんちゃん先生、あまり信用できねえんだよな。
タバコの害が言われて久しいですが、巷でよく言われるほど喫煙者が減少しているのか、甚だ疑問符がつく現実があるようです。仲間との付き合いで始めたような付き合い喫煙者は世間の風潮に合わせるように禁煙したものの、本当に好きなコアの部分の禁煙愛好家はあまり減ってはいないのではないかと思わせる事例がたくさん存在するからです。
Wさん88歳、肺気腫のため在宅酸素が必要な状態にありますが、酸素を必要としながらも喫煙をやめる気持ちはさらさらありません。わしからタバコと酒を取り上げたら何も残らないんだわ、今までの医者は、ふたこと目にはタバコやめろ、酒やめろと言うけど、先生はやめろとは一言も言わないからありがたいと思っていると妙な誉め方です。食後の一服は相変わらずうまいし、酒は一合と決めている、昨夜も酒のんで、酸素も吸って、ぐっすり眠れた、生きがいを感じたね。この年で生きがいを感じられるっていいじゃない?

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