クリニック通信Clinic Letter

1月の診療室だより

長年肺の病気を患っているOさん86歳、夜間の咳が止まらないと訴えています。咳で眠れないんです、96歳になる主人も眠れないと言っていますがあの人はいいんです。日中私に言われたことが頭にきてるようで、その反発の寝言がひどくてイビキも混じって、さらに私が眠れなくなるという繰り返しです。夜通し私の咳と主人の寝言とイビキの応酬が続くんです。夕張の炭鉱で働いていた頃、石炭を運ぶトロッコを押しながら寝ていたというご主人、その頃から寝言、イビキがあったとのこと。そんなわけで、筋金入りのイビキと寝言のカップリングはそうそう簡単にはおさまらないのは、結婚前からOさんも承知しています。外では買い物も一緒、散歩も一緒と仲の良い夫婦で通ってますが、内実は逆、家の中ではほとんど話もしないし会話がないんです。仲の良い夫婦を演じて65年も経ってしまいました。
こんな状態の時、Oさんが突然脳梗塞に襲われました。一時は話すことも歩くこともできなくなり、ご主人は家事の全てを担うことになり、退院後もリハビリの共同作業が続き、日々の生活に会話が戻ってきました。そして一年後、リハビリのかいもあって一人歩きもできるようになりました。今ではすっかり脳梗塞前の状態に戻りました。それとともに再び二人の間の会話がなくなりました。子はかすがいといいますが、病気もかすがいのようですね。今後はどんな病気になったら夫婦仲が良くなるんでしょうか?

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