クリニック通信Clinic Letter

8月の診療室だより

異常気象で日本各地、大雨による洪水の被害が報じられ、北海道でも7月に入り30度を超える真夏日が続いたその日、あるホテルで豪華なパーティーが催されていました。レーザービームと華やかなスポットライトを浴びて、今年77歳になるОさんがいました。65歳まで働きづめで、仕事から解放されるや否やみるみるうちに体重が増加、70㎏を超えた辺りから色々な合併症が出て来ました。お定まりの糖尿病、高血圧、そして睡眠時無呼吸と、生活習慣病のオンパレードです。仲間と旅行すればしばしば鼾のためベッドをこづかれ、最近ではすっかり旅行もご無沙汰状態となっていました。

 その彼女が意を決して仲間に宣言し始めたのが社交ダンス、それも1年後には大好きなボレロの曲でパーティーでの披露をするというのです。特別な趣味も持ち合わせず、特に運動した経験もない彼女が、すこぶる情熱的、官能的なボレロを踊るということに周囲も教える側もビックリ仰天、そしてついにその日を迎えました。

 その日のОさんは自分で設えた真っ赤なイブニングドレスに赤のハイヒール、きらきらスポットライトに輝く髪飾りも加わって、すっかりボレロの主人公になり切っていました。踊り終わった彼女は、祝福する仲間の拍手の中に上気した満足の表情を浮かべて立っていました。おめでとう、Оさん。

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