クリニック通信Clinic Letter

7月の診療室だより

 前屈みで、最近では足元もおぼつかないKさんですが、長年の喫煙による肺の障害と高血圧による心不全を伴い、続けて50mも歩けなくなったのはついこの間の事です。息苦しさも加わって、終に禁煙に追い込まれてしまいました。ところが息を吹き返したのは、なんとサッカーのワールドカップ。若い頃はサッカーで鳴らしたKさんにとって、今はサッカー観戦は生きがいです。地球の裏側の試合のライブ観戦は81歳の身体に相当の影響を与えそうですが、奥さんの心配をよそにやめる気配はありません。好きな酒は、多い時で8合はいく状態に変化はなく、身体の限界に挑み続ける毎日が続いています。

 50年にわたる毎日40本の喫煙は、当然の如く重症の肺気腫を生じさせKさんの呼吸困難を引き起こした訳ですが、50年の愛煙生活は何らの後悔もKさんには与えていないようです。自分の愛したタバコと生き生きとした若い時代の自分が重なっているからでしょうか。好きなことに没頭することがKさんの生き様と考えると、見事な生き様と考える他はありません。

 ワールドカップは7月の中旬まで。何事もなくライブ観戦が続けられることを祈るばかりです。

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