クリニック通信Clinic Letter

3月の診療室だより

 糖尿病のSさんが、一昨晩寝汗をかいたと言って受診されました。2日程前から寒気があったとのこと。尿の検査では明らかな尿路(膀胱、尿道等)感染症でした。問題は、普通なら血圧が高いSさんが低血圧(100以下)を呈していたことでした。男性で、糖尿病があって、尿路感染を起こし、低血圧は、要注意の警戒警報です。即入院治療を勧めましたが、あまりにも元気で食欲もあることから入院を拒否、抗生物質で自宅安静で様子をみることとなりました。ところがその晩就寝後、高熱と共に意識不明となり、救急車騒ぎとなり、緊急入院となってしまいました。

 男性の尿路感染は、時として前立腺炎による感染症が契機となっており、早期に敗血症(細菌が身体中に回ってしまう状態)を呈し、ショック状態となります。手遅れになると死につながる非常に危険な状態ですが、ショックに至る直前まで元気であることが多く、後手に回ることがしばしばです。

 Sさんは幸いにも、入院先の集中治療室で24時間後意識が戻りました。男性で、糖尿病があって、最近排尿異常が出てきたら、患者さんも、そして対応する医療機関も、最新の注意が必要とされるようです。

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