クリニック通信Clinic Letter

11月の診療室だより

Мさんは、もともとアレルギー性鼻炎はありましたが、蕁麻疹とか食物アレルギーは経験がありませんでした。今年のある暑い夏の日、スーパーで目にした“うなぎの蒲焼き”は食欲をそそる一品でした。値段も手ごろで、この日の夕食にと早速購入。

身体中のかゆみで目が覚めた所、身体のあらゆる所が赤く腫れ、頭皮までも含めた全身世の蕁麻疹です。肝機能の障害まで伴う本格的な食物アレルギーの所見でした。

Мさんが食べた“うなぎ”は中国産でした。うなぎに限らず、養殖の魚はその最も多くが中国産であることが知られていますが、この養殖の過程で大量の抗生物質が投与されていることはあまり知られていません。狭い養殖場で大量の魚を育てるため、通常では有り得ない程の感染症の発生があり、それを抑えるために使用されるようです。うなぎを含め、全ての養殖魚は抗生物質を含んだ飼料で育てられていると考えてよいでしょう。

Мさんの全身性のアレルギーは薬剤性アレルギーと考えられ、ステロイドホルモンというアレルギーを抑えるホルモンの使用が必要でした。食の安全性が叫ばれる今日この頃ですが、比較的安全と言われる魚もその例外ではないことをこのМさんの事例は示しているようです。

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