クリニック通信Clinic Letter

5月の診療室だより

下肢、特に膝下の静脈瘤に悩んでいる中高年の方は沢山おります。Sさんもその一人で、道北の病院では飽き足らず、札幌の専門病院と言われるいくつかの病院を受診、結局静脈を引き抜くという手術を受けました。その結果は相変わらずの足の痛みとむくみでした。

 下肢の静脈瘤は中高年において最もポピュラーな足の病気であり、むくみや痛みの原因となっていますが、しばしば血栓を生じるため肺梗塞の原因となることがあります。他の病気で入院し、ベッドでの安静が長時間になる結果、入院の原因は単純なものであっても(例えば白内障、虫垂突起炎等)肺梗塞の結果、突然死に到ることがあります。

 ある日のSさんも似たような状態に巻き込まれました。A市から札幌の娘さんの所に車で移動中、胸痛を感じクリニック受診となりました。原因は肺梗塞。範囲が狭かったため大事には到りませんでしたが、以後、弾性ストッキングを着用し、抗血栓剤を服用しております。弾性ストッキングは下肢静脈瘤の対処法として非常に効果があり、血栓予防に効果的であることが知られています。下肢静脈瘤といえども侮るなかれ、用心が必要であること、弾性ストッキングという単純な処置で大事を避けることが出来ることをこの事例は示してくれている様です。

一覧へ戻る