クリニック通信Clinic Letter

9月の診療室だより

異例ともいえるこの暑い夏、Sさん姉妹が1か月にも及ぶ咳で受診しました。
近医で抗生物質、咳止めの処方を再々受けましたが、まったく改善ないまま咳のため不眠となる日々が続きました。

百日咳は小児の病気と考えられて来ましたが、近年成人、老人にも認められる、一般的と言ってよい感染症となっており、最近のアメリカでの統計によると、成人大人の咳嗽疾患の13~20%を占めると言われ、特にここ1~2年は、過去に例を見ない流行となっている様です。日本での正確な統計報告はありませんが(日本での百日咳菌の確認は抗体検査で行われており、アメリカで行われているPCRを用いたDNA測定が導入されていないためと思われます)、かなりの百日咳患者が想定されます。感染初期に的確な抗生物質が充分量投与されると治癒しますが、後期では抗生物質が投与されても効果は期待出来ません。

Sさん姉妹は感染後期であったため抗生物質は投与しませんでしたが、百日咳と言われた途端安心したのか、咳止めだけで症状が改善して来ました。古くて新しい感染症の再襲来といえる様です。

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