クリニック通信Clinic Letter

4月の診療室だより

 医療の現場で五感を使った診断は古典的な手法と考えられているきらいがある様です。先日も、若い30代の患者さんに聴診器を当て腹部の触診をした所、意外な顔をされてしまいました。

 一週間程前から熱が出て、喉が腫れているとのことで近くのクリニックを受診し、風邪の診断で薬をもらいましたが改善なく、抗生物質を出して欲しいということでした。軽度の扁桃腺の腫れと、咽頭の腫れをみれば、一般的な急性上気道炎として何らの矛盾はありませんが、両方の頸部リンパ節が腫れていること、肝臓と脾臓が明らかに腫大している点が少し違っていました。

 伝染性単核症はEBウィルス感染症で生じる病気で、肝機能障害、肝臓、脾臓の腫大、リンパ節腫大を特徴とします。

 画像診断が発達した現代ですが、聴診や触診等の古典的な診断手法は今でも充分に通用する技術であることを若い先生方に伝えたいと思うのは、単なる老婆心的感情ではないと思うのですが。

一覧へ戻る