クリニック通信Clinic Letter

11月の診療室だより

 健診を受ける毎に肝機能の異常を指摘されるHさんですが、身体が怠いわけでもなく、今年も恒例の落葉キノコ狩りを楽しんで来ました。天候の不順はキノコ狩りにも影響しているようで、いつになく不猟とのこと。毎年の楽しみが半減したようで、いつになく元気がありません。最近Hさんにとって大きな事件ともいうべき身体の異変が起こったことも、元気のない原因の一つになっています。

 非アルコール性脂肪性肝炎(別名NASH・・・ナッシュと呼ばれている)がHさんの病気です。酒も飲まず、タバコも吸わないHさんですが、当初は肝機能障害の一種程度と軽く考えていたようです。ところが最近の検査で肝癌の発生がわかったのです。それも複数。治療は何とか終了しましたが、おかげで、すっかり気力、体力が落ちてしまいました。NASHは単なる脂肪肝ではなく、肝硬変にも肝癌にも進展する可能性のある肝臓病です。初期に見つければ、さほど治療の困難な肝疾患ではありませんが。

 来年の秋には、Hさんの秘密の場所で、沢山の落葉キノコが採れることを祈るばかりです。

一覧へ戻る