クリニック通信Clinic Letter

5月の診療室だより

 Aさんは50代の男性です。そろそろ会社から肩を叩かれるのではないかと気にしている毎日のようです。その彼が高血圧の薬を希望して先日受診しました。話を伺うと、2~3ヶ所の病院、クリニックを受診しており、血圧のコントロールがうまくいっていない様子です。更に詳しく話を聞くと、いづれの医療機関から処方された薬も指示通りに服用したことがないとのこと。
 アメリカにおける報告では、処方された降圧剤を指示通りに服用しなかったため不幸にも亡くなった方(主として心筋梗塞、脳梗塞)は毎年89000人にも上るとのことで、今回オバマ大統領の医療保険改革の1つの柱に患者さんの服薬遵守問題が含まれるとのことです。
 服薬を指示通りにしてもらえるか否かは患者さんと医師との信頼関係の有無が最も重要ですが最近はその関係が次第に希薄になってきているのが心配なところです。Aさんの場合、家の机のひき出しの大量に残った降圧剤の整理から始めましたが、この先どうなることやら。まずはAさんが早期退職に追い込まれないことを祈るばかりです。

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