高齢者施設に入居して半年、Kさん88歳はすっかりやせ細った身体を指さして、こんな骨と皮ばかりになっちゃって、と以前より10㎏やせた身体を嘆きます。聞けば入居者の多くは施設提供の食事でやせてしまっているのだとか。以前学校だった所を改築して作られた施設はトイレ風呂等の設備は完璧で、一回で入居を決めたようですが、入居費用の安さが食事に反映されていて入居者の多くはいつも空腹を訴えているのだとか。2年前までは50kgをキープしていたKさんですが、今は40kgを切る状態。さすがに心配した娘さんが横浜から駆け付けました。
永年住み慣れた自宅を手離して高齢者マンションや市営住宅、その他の高齢者施設に移り一人住まいを余儀なくされている人の多くは女性。相方のご主人が亡くなって、一人一軒家での生活が不安になるためのようです。何も話さず家事を全くしないご主人でも居ないよりマシというのが本音のようですが、一人となった一軒家はことのほか寂しさをつのらせるようです。
やせ細ったKさんを見た娘さん、お母さんの横浜への転居を決めました。すでに全てにやる気の失せたKさんにとって娘さんの提案は渡りに船でしたが、生まれてこのかた北海道を離れたことのないKさんです。本日の受診目的は横浜での転院先紹介でしたが、「こんなお婆さんを見たらどんな病院が受け入れてくれるものやら。先もないことだし、この際知らない病院より最寄りのお寺を紹介していただけませんか?」と真顔です。